傷物語I 鉄血篇 感想
傷物語I 鉄血篇
あらすじ
ぼっち高校生・阿良々木暦はある日、瀕死の吸血鬼・キスショットに出会った。
回復のため、泣きながら自らの血を求めるキスショットを前に悩む暦。自らを犠牲にして助けることを決意する。
アニメシリーズ『化物語』の前日譚。
感想
すごいものを観ました。
面白い面白くないではなく、すごいんです。
日常シーンの細かな動作、今敏や高畑勲を彷彿とさせるような工夫しかない映像の連続。
これが深夜アニメの劇場版だなんて信じられません。まるでアート作品でも観ているかのような気分です。
それでいて所々にガイナックスのような勢いのある絵作りもバンバンと差し込まれてきて、アニメのいいところをこれでもかと詰め込まれている印象。映画かアニメが好きな人であれば間違いなくお腹いっぱいになること間違いなしです。
話としては序章も序章、三部作の物語に登場するキャラが一通りそろったというところで終わってしまったために、そもそも面白いかどうかを問う段階にはありません。
それでも終始退屈さとは無縁でいられる圧倒的な絵作りには、やはり脱帽の一言を添えたくなってしまいます。
そんな今作にも難点が二点あります。
一つは最初の日常パートの描写方法までもがあまりにも独特すぎて、吸血鬼に出会ったという非日常の入り口にあまり衝撃を受けないという点。
もう一つヒロインたちの頬が常に赤く染まっていて、彼女たちが当時暦に対してどんな感情を抱いていたのか、機微がまったくもって読み取りづらいという点。
そうした演出の雑さが少し残念に思えます。
夏の続編も実に楽しみに思えました。
新年早々に現れた、観なくてはいけない映画となっております。