にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

映画『ちはやふる』 上の句 感想

ちはやふる

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いつも映画館に行けば基本的におっさんしかいないので、今回も何も思わずにおっさんルームへと足を踏み入れたつもりでした。
しかし、自分は忘れていたのです。ちはやふるは原作が少女漫画であることを。
なので客層も大半が女性ばっかり。男性はカップル連れしかいなほどの女性率。
本編の前に流れる映画予告には恋愛映画に継ぐ恋愛映画。
ああ、来る映画を間違えたか。この段階で早くも来たことを後悔させられました。
予告で出て来た恋愛映画の地味系女子とされる主人公達の外見がいちいち可愛すぎて、作品とは関係無いところでげんなり。日本の役者ありきで制作するスタイルいい加減どうにかならないかなぁ……。

 

とまぁ、ずいぶんテンションが下がったところで本編。
ひっくり返されました。
めっちゃくちゃよかったです。
邦画を観るのはバクマン以来で、バクマンの出来が相当よかっただけに今作はかなりハードルを下げた状態での鑑賞を心がけていたのですが、OPの段階でそんな見下した態度に反省せざるを得なくなりました。

 

まず魅せられるのは平安の絵をモチーフにした雅なアニメーション演出。手描きエフェクトの気持ちいい動きがこの作品全体のクオリティを示すかのように、鑑賞者を作中へと誘ってくれます。
実写カットの合間に差し込まれるアニメーションも上手く世界観を捕らえられていて自然に受け入れることができ、豊かな感情表現が成されていました。

 

話は二時間で五人分の葛藤を上手くまとめています。
中でも上の句で主人公的な立ち回りをしていたのは、太一でしょう。
原作でもおなじみの、太一君は運が悪い話。
その運が悪い話は、原作ではキャラ付けの一環でしか無かったのに対して映画ではそこにもしっかりとした理由付けがされていました。しかも、原作にもあったエピソードが原因であるとしているため、原作ファンでも納得のいく仕上がりに。
おかげでかるたの神様に見放された彼が、運命戦で自分が勝つための活路を見いだしていく流れの熱いこと熱いこと。
これは原作の頃からの個人的な思い入れになりますが、やっぱり太一を取り巻く葛藤がいちいち胸に突き刺さる!

 

広瀬すずという配役はネットでもよく話題になるため、キャラとして没入させてくれるかどうかという点で非常に不安だったのですが、これもまた失礼いたしましたの一言。
まんま千早でした。振る舞いはもちろんのこと、声のトーンまでアニメそっくり。一体どれだけ原作を研究したのかと思わず感心してしまいました。
広瀬すず以外の役者さんたちも、一部の改変を除いて原作のキャラクターの姿を生き写しにしたかのようにピタッと当てはまっており、観ていてそういった部分のひっかかりは一切ありません。
中でも奏役の子はすばらしい。演技力も抜群ですが、外見の普通っぽさが奏役としてのポテンシャルを遺憾なく発揮できており、まるで奏が現実に舞い降りたかのように錯覚してしまうほど。

 

本編に感動し、お腹いっぱいになってEDに差し掛かったところでずっこけました。
なんでPerfume!?
作中の雅な演出に心を溶かされた末に待っていたものが電子音では台無しです!
もっと他に選択肢無かったのでしょうか……それとも、これもまた大人の事情でしょうか。

 

ひとまずエンディングは置いておき、
映画の尺という問題を解決するために冗長なシーンがないことが幸を成して、漫画よりもすっきり触れやすい作品になったように見受けられました。
名作と言っても差し支えない類いの映画ではないかというのが自分の感想となります。