にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

ノラと皇女と野良猫ハート 感想

ノラと皇女と野良猫ハート

 

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前回出来なかった分、今週末にもう一つ記事を上げる予定です。

 

あらすじ

男子学生・反田ノラはある春の日の登校中、一人の美しい少女の姿を目にする。
パトリシアという名のその少女は冥界のの皇女であり、ノラたちの済む地上の生物を滅ぼすためにやってきたのだった。その日の昼、ノラはある出来事からパトリシアとキスをしてしまう。
するとノラの身体は一匹の黒猫に。パトリシアはノラに無自覚な恋心を抱くようになってしまった。
人と人でない者の間で揺れ動く恋愛ブレイブストーリー

 

感想

いいエロゲーでした。
従来、日常の中にファンタジーなどの要素を盛り込んだ世界観を扱ったエロゲーというのは、大半が最初からご都合主義に走りがちでうんざりさせられます。
今作では童話のような語り口で進む演出が、日常の中で唐突に現れた魔族という存在をメルヘン的に位置づけ、「お、どうなるんだろう?」と自分を作中世界へと違和感なく引き込んでくれました。
おかげで非人道的な種族だったヒロインが人間性を知っていくというありがちなプロットも、まったく新しい物語のような楽しみ方をすることができ、満足です。
日常描写などの飽きさせないキレがありますが、さらに素晴らしいと思ったのは曲。
クラシックの名曲をアレンジしたBGMが、童話的な表現と見事にマッチしていて攻略後も曲単体で何度も聞いてしまうほどにはまり込んでしまいました。
あと純愛ものながらエロシーンがエロいのも個人的に高ポイント。

 

でも名作ではありません。名作とするにはあまりにもおざなりすぎます。
ではどこがダメなのか。ずばり、キャラを取り巻く設定のほぼすべてごまかして乗り切ろうとしているところです。
なぜ人間のヒロインが魔族としての才能を持っているのか、天界とは何なのか、そういったヒロインのルーツの扱いが適当で、なぜかダイジェストだったり口伝で終わらせてしまうのです。
この雑さが大作感をぶちこわしている!
せっかく二年もかけて作り、見事な曲やルックなどの演出を実現できているのにどうしてそんなことを……と歯がゆく思います。

 

中でも特にこの作品の価値を大きく損ねているのは、メインルートで主人公が大きな決断と実行をしたのに、まるで夢落ちのような強引さで迎えるハッピーエンド展開。
そんな設定作中で全く無かったよね? といった要素で解決してしまいます。クライマックスで覚えた感動を汚されたかのようないらだちが沸きました。
人の時間の中で生きていきたいヒロインと、そのヒロインの幸せを願って魔族に身を落とす主人公の恋愛を描くのであればご都合主義で濁さずにしっかり描ききって欲しかった。
有力な魔族へと成長を遂げた主人公が記憶を失うくらいの時間をかけて、時間を飛び越える魔法を覚えて帰ってきた、ぐらいのバランスでも十分シリアスに成り立つでしょう。
途中までは間違いなく感動出来ていた作品だけに本当にもったいない。

 

とはいえ、そうした雑な部分以外はとてもよくできているため、いいエロゲーだったなぁというのが自分の感想です。