にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

ヒカルが地球にいたころ…… 感想

ヒカルが地球にいたころ……

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あらすじ

男子高校生・赤城是光は不良として周囲から恐れられている。
ある日、学園で女生徒たちの憧れである帝門ヒカルが死に、その幽霊が是光にまとわりつくようになった。
ヒカルは是光に叶えてほしい願いがあるのだという。
その願いとは、生前にヒカルと親交のあった女性たちと交わした約束を叶えて欲しいというもの。。
恐怖の代名詞とされている是光は、ヒカルと親交のあった女性たちにおびえられながら、ヒカルが交わした約束を叶えるために奔走する。

 

 

感想

非常にハマっております。
kindleで角川本が五十%オフという時期ということもあり、美月さんの本をそろえてしまうくらいハマっております。
お話は、友達が一人もいないような嫌われ者だった是光が、ヒカルと行動していく中で人との付き合い方、想いの伝え方を学んでいき、成長していくというもの。
これは今作に限らず、著作者の作品全般で見られる特徴なのですが、心理や情景の描写がとても繊細で、キャラたちの感情の動きがかなり細かく伝わってきて実在感を持ってハラハラさせられ、目が離せなくなってしまいます。

 

恋愛要素はあるものの、その本質はサスペンスです。
それゆえ、ヒロインたちとの揺れる恋心も著者ならではの巧みな表現力で描写されていますが、それ以上にヒロインの持つ悩みが何なのか、そういった随所にちりばめられた謎に対しての興味こそが本作の面白さの源。
一人のヒロインを調べあげる主人公の行動なんて、無理やりな理由付けで不自然になりそうなものです。
しかしそこもまたうまいこと成り立っていて、是光はヒカルとヒロインの約束を達成するために、ヒロインに向かう必要があるという状況設定があるため、素直に受け入れることができてしまいます。
クライマックスは、さながら犯人と動機を語る探偵のように、ヒロインに対してその心の内を丸裸にするシーンがあり、丸裸にした上でヒカルとの約束を是光が代わりに叶える。
ヒロインの成長、主人公の成長、そしてついでに恋心の成長。それらがこれ以上ないのではないかと思えてしまうほどきれいに収まってくれる様は圧巻の一言。

 

ヒロインたちがチョロくなく、曲者であるところもまた魅力の一つ。
最初は是光の評判や外見ゆえに、怯えられたり、警戒されたりと散々だが、ヒロインの強さと弱さを知り、ヒカルとの約束を叶えた末に是光の魅力が伝わってデレてくれます。
つまりはシンプルなツンデレヒロインたち。であるがゆえに、シンプルに楽しめる。
巻が進むごとにたくさんのデレたツンデレヒロインが是光を取り巻き、嫉妬の渦を作り上げていく。それがまた面白いです。
それでいてむやみやたらとデレることはなく、それぞれが己の持っている立場を憂慮しながら葛藤していくバランスが、次の巻、次の巻へとアリジゴクのように興味の渦からなかなか脱出することができませんでした。

 

総括すると、とても良質な少女漫画的サスペンス作品でした。