下読み男子と投稿女子 感想
下読み男子と投稿女子
あらすじ
男子高校生・青はライトノベル新人賞の下読みのアルバイトをしており、その評価表も編集部ではすこぶ評判がいい。
彼はある日、投稿作品にクラスメイトの少女・氷雪の作品を見つける。普段はクールビューティとして知られる彼女が、作品ではフォント変えや顔文字だらけ。
一次選考を突破したこともないらしい。ギャップに戸惑う青に、氷雪はライトノベルの書き方を請う。
ライトノベルを書く人間とお近づきになりたかった青は、氷雪にライトノベルの書き方を教えることを決めるのであった。
感想
とても面白かったです。
ライトノベル作家を題材にしたラノベは数あれど、精神論ではない生の技術論を持って表現されている今作は圧巻でした。
これができるのは作家さん自体に相当な技量が求められることになると思います。できる人はそうそういないでしょう。
しかし、それをできてしまうだけの力が、今作では証明されている。
できなかったことができるようになっていく各キャラの成長物語。追い詰められてキャラが取る行動やその感情のリアルさ。
そうなるに至った理由の紐づけ。そして豊富な語彙力によって繰り出される情景描写。
ケチのつけようがないくらいに完璧なメタ技を作中で説明しながら披露し、その傍らで成長したヒロインによる尊い行いでしめられるクライマックスで閉じられる。
二重の驚きを体験させられ、意味が分からないくらいの感動を見せつけられました。
総括すると、技巧派作家の技をこれでもかと堪能できる作品です。一気に読まなくてはいけない本が増えてしまいました。