にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

鑑定士と顔のない依頼人 感想

鑑定士と顔のない依頼人

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一流美術商・ヴァジールは気難しく、女性が苦手だった。
ある日、不思議な美術品の査定依頼が舞い込んでくる。
来る日も来る日も電話で呼び出されるがままに仕事を進めていくも、本人が姿を現すことはなかった。
確かなのは依頼主が女性だということだけ。
依頼主はなぜ姿を現さないのか。一つの謎がヴァジールの世界を不穏に彩っていく恋愛サスペンス。

 

 

『え、微妙……』
開始から三分の二くらいの時点で、そんな思いを抱いて冷めて観ていました。
今作の中心にある謎が解決したかと思いきや、こってこてなゲフンゲフン展開。
偏屈おやじだったヴァジールはナイスミドルに成長を遂げました。頼れる仲間たちに囲まれながら、仕事もプライベートも順調でこれ以上ないほどの幸せ気なシーンがこれでもかと描かれます。
もうサスペンスでも何でもない。ただのお惚気映画。なんて都合のいい展開なんだ。これ以上何をやるというんだ。


このつらい展開の中で自分を支えてくれているのは、明らかに意図されて未回収のままになっているとある伏線です……ええ、その期待は間違っていませんでした。
尺的にももう終わりはじめ、絶望感に包まれかけたその時のことです。
最後の最後でまさかのどんでん返し。
きたっ! これだっ! すべてはこの時のために!
少し時間が経つまで気づかなかったものの、それに気づいてからは鳥肌が立ちました。
確かにヴァジールの立場なら確かに十分に起こりうるイベント。悔しい……けどそれがいい!
今作で作り手が誘導していた展開にすっかりとだまされていたわけです。
ユージュアルサスペクツをもっと情感豊かにしたようで、実はやっぱり普遍的だった。そんな作品でした。