にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

もらとりあむタマ子 感想

もらとりあむタマ子

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大学を卒業しても仕事につかない人っていますよね。
その中にもいろんなタイプがいます。たとえば就職活動すらせずに毎日食って遊んで寝て、何の目的もないままに日々を過ごしている人。
そういうタイプの人は別に就職したくないとか、大人になりたくないとか、そういう社会に対してのアンチテーゼを示しているわけではありません。
ただ、四年間の大学生活の中で答えを出すことができず大人になれなかったというだけ。
そういったモラトリアム延長中の女性・タマ子がモラトリアムを脱するためのきっかけを探すお話です。

 

 

といっても映し出されてきたのはありふれた日常の場面ばかり。終わりもなかなかにあっけないものです。
モラトリアムに決着をつけるためにはドラマチックなきっかけなんていりません。
まだまだ子供のつもりでいるタマ子に自分は大人になったんだということを気づかせればいい。
そのために必要な鍵は、反則的ではありますが父親の存在でした。
子供を最後まで子供足らしめているのは親の存在です。生活インフラをすべて提供してもらっている状態から離脱させれば大人にならざるを得ません。
ゆえに親から本気で『家を出ていけ』と言われればそれで終わり。
この作品は物語というよりは、そういう子供を持った親に対しての説教のように思えます。

 

 

そこで一つ疑問を抱きました。
この作品の主人公は本当にタマ子なのでしょうか? と。
作品に込められたメッセージが親に向けられていると感じたというのもそうなのですが、それだけじゃなく作中で一番感情移入させられたのもまた父親でした。
家事も仕事も育児もこなして、娘のタマ子には煙たがられる生活を見せつけられた身としてはついつい『がんばれ!』なんて応援をしてしまいます。
そしてクライマックス、この物語に決着をつけるのもそこまでの組み立ても全部父親によるものでタマ子はなんにもしてません。
作品の中でも外でも、中心にいるのは結局のところずっと父親だったわけです。

 

総括

日常の雰囲気には魅かれました。しかし、総合的にみると微妙な作品です。
個人的な好みというのもありますが、それ以上に大きな理由があります。
この作品でやっているのは『こういうときはこうすべし』と、正論を解いているだけにすぎないからです。
淡々とした日常のみをうつしてこの結論ではあまりにも感じるものがなさすぎます。
そういう作品で一貫性を持たせているというのはわかるのですが、娯楽として面白くないです。
日常によくある題材の面白さって、もっとわかりやすい出し方があるんじゃないでしょうか。