にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

セッション 感想

セッション

 

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とにかく観るのに疲れました。
アップ構図の多い人物。ハイコントラストな絵。揺れる画面。どこまでも付きまとうドラム音。間。
引きがあるかと思えばカメラとキャラの間には必ず壁や物が置かれていて、やはりそこでも狭く苦しい印象を与えてくる撮り方。
はじめっから最後までずっと緊張感にピリピリと張りつめていて、気づけば座って観ているだけの身なのにも関わらず息切れを起こしている始末。
この緊張感の中で時折差し込まれる展開の転換で、ホラー映画じみた驚きで緊張感はより高みへと昇っていってしまいます。
悪い意味ではありません。それらすべてがこの映画の持っている魅力です。
ここまで真に迫るというか、没入させられた映画は今まででも類を見ないくらいにすさまじい作品だと思いました。

 

 

思い返してみれば作中で人と人が会話することはあまりありません。
恋人を否定して家族を否定して、そこ以外のほとんどは演奏シーン。
なのにこんなにも後味が豊かなのは『本気で何かを成したいならよそ見をするんじゃねぇ!』というメッセージもありますが、音楽の中で話を語っているからでしょう。
自分を首に追い込んだ主人公をハメて音楽界から追放しようとする元教授。なすすべもなくやられてしまう主人公。
そこにさし延ばされるのは一度完全否定したはずの家族の手。それをも再び拒絶してしまう主人公。作中で血を流しながら練習したドラムで元教授を真正面からねじ伏せ返す。
それだけにとどまらず主人公はドラムソロを演奏し続ける。元教授は主人公の背後に、自分の作り上げたかったものの影を見て共に演奏。
……あつい! あつすぎる! これはもう音楽というよりもボクシングのそれに近いような気がします。
長い長い抑圧の末、怒涛の音楽による物語で見事な完結。
言葉で語るのではない、題材の正しい使い方を教えられました。

 

総括

没入感が魅力的。
思わず家にシアター設備を整えたくなりますね。
観ていない方は是非映画館へ。
モニターで見るだなんてもったいないですよ!