にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

ピュア×コネクト 感想

ピュア×コネクト

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恋愛脳な女性を忌み嫌う大学生主人公が、ベーカリーレストランのバイトを始めて恋をするお話。

 

 

キャラゲーを舐めていました。
自分はこういったジャンルでは、どこかで見たことがあるキャラがどこかで見たことあるような世界でどこかで見たことあるようなことをするだけで、基本的にめちゃくちゃ楽しめたという経験があまりありません。
この作品も特に変わった世界観や物語があるわけではありません。
じゃあ何が面白いのかというと、キャラがこの作品なりのリアリティを持っているところです。現実的とは違うのですが、実在感があるんです。


『見たことある』の徹底排除。世間話一つ取ってもキャラたちはきちんとそれぞれの今まで歩んできた時間を感じさせるような言動をしてくれて、『記号的』とかけ離れた描写がされています(ライターさんが数人いからか、みんなそうとは言えませんが……)。
彼らなりの日常が描写されているだけなのに、それが面白い……!

 

 

特にヒロインの一人・一之瀬空なんかはエロシーンまで隙がありません。
エロシーンというのも大半のエロゲーでは喘ぎ声と無意味な説明で構成されていてすぐに飽きてスキップしてしまいます。
しかしこの空は、エロシーンの中でさえもきちんと今まで彼女が体験してきたことや考えを元に主人公と距離を詰めていくような発言を含ませて、シーンも長すぎずにほどよい丁寧さを兼ね備えている。
エロシーンでスキップしなかったのは久々です。エロシーンまでもが面白い(空以外は普通のつまらないエロシーンでした)。

 

 

そして共通ルートで冴えわたるギャグも、今作の魅力を語る上では外せません。
従来のキャラゲーであればギャグですら『どこかでみたことがある』ことがそのまま描写されてウィンドウをそっと閉じたくなるような作りなのに対して、今作はここも妥協なしです。
主人公の部屋にケツ型オナホールが三つならんで飾られている衝撃。そのオナホールをラジコンや抱き枕にして遊ぶヒロインのシュールさ。
朝立ちシャドウボクシングにも笑わされました。
やはり新しいギャグはあればそれだけでグッとひきつけられますね。

 

 

個人的に年上ヒロイン・牧原志帆の使い方にも目を見張るものがあります。
主人公との年の差はなんと十歳。飲食店でのバイトを舞台にしていてヒロインとの年齢差がここまであるのは珍しいですね。
凡百の作品であれば、このヒロインに年の差を悩ませて主人公が『年の差なんて~』とか言ってクライマックスを迎えそうなものですが、ここでも安定のクオリティを見せてくれます。


もちろんその点に悩むことはあるのですが、そこはあくまで最小限に。
十年も先を生きてきた人間が築いてきたもの――年上とはこういうものという他のヒロインでは見られないようなスマートな日常を持って、まだ大学生の主人公と生活を共にしていく様が描かれているんです。
今作なりの『年上としての役割』を逃げることなくしっかりと向き合っているところに魅きつけられました。

 

 

物語的な要素はかなり最小限と言えます。
ヒロインたちが抱えている問題――ルートで乗り越えることは大したことじゃありません。
日頃うすうす思っていたこと。ちょっとしたきっかけでさっと乗り越える様をかなりあっさりとルートの締めに配置している程度です。
物語を成立させるうえで、無理にヒロインの周囲で問題を起こしたりしていないんです。
そのため上記した部分を堪能できるだけ堪能しきった状態でエンディングを迎えることができました。おかげでプレイのし心地がよかったです。
作り手自身がこの作品の面白さに自信を持って制作に取り組んでいる印象。