クロニクル 感想
クロニクル
冴えない根暗な大学生の男が、ある日突然手に入れた超能力をきっかけに自滅していくお話。
これを観て思い浮かべたのはライトノベルでした。
ある日突然特殊な力を得て、問題を抱えた女の子を助けて無双し、ハーレムを築いていくという文脈。最近の流行ですよね(ハーレムになったり女の子を助ける部分がなければ映画でもよくありますが)。
そんな甘ったれた考えに『待った』をかけるのが今作です。
今までうだつの上がらない人生を送り、コンプレックスにまみれた人間が突然特別な力を得たら果たして人助けをするのか?
最初こそはちょっとした善意で力をふるって周囲からたたえられることがあるかもしれません。
しかし、本質的にコンプレックスにまみれた人間はずっと人のためには動けない。やがては特権に陶酔して社会的にも物理的にも死んでいくことになります。
これこそが本来コンプレックス人間が突然力を手に入れた場合にあるべき姿なんだと今作は訴えてくるのです。
主人公はどんどん人としてやってはいけないことを重ねていき、観客を『やばいやばい』と精神的に追い立ててくる。
そしてそこからの崩壊……スプラッシュマウンテン的な快感がたまりません。