にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

山田くんと7人の魔女 感想

山田くんと7人の魔女

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アニメの一話だけ見て、原作を一気読みした口です。
いじめられているヒロイン・うらら様と体が入れ替わって実際に教科書に落書きがされている場面に遭遇した時の主人公・竜氏の反応にやられました。
「優等生の書き込み半端ねぇ!」
その発想……新しい!
弁当がぐちゃぐちゃなのは、よくわからないけどうまいという『まぁそうだろうな』的な反応だったところからの唐突なストレートパンチ。
腹筋と財布の中身を持っていかれました。

 

物語

冒頭が典型的男女入れ替わり描写であるため勘違いしてしまいますが、この作品は学内政治バトルものです。
かくいう自分もこの物語に間違った認識を持った状態で原作に手を出したのですが、裏切られたという思いを上塗りしてくれる面白さがあり、あっという間に読み切ってしまいました。
学内の政治的な戦いを異能力と組み合わせるというありそうでなかった切り口にはそれだけの魅力を感じます。


しかしそんな魅力とは裏腹に、一つ大きな問題点がありました。
キャラクターの性についての倫理観が悪い意味で異常なのです。
能力を発動するためにキスをすることや、ヒロインを下着姿にすることにほとんどなんの葛藤もありません。
うらら様一人がそうだというだけなら、ああそういうキャラなんだなと納得できるのですが、みんなおかしいのです。


キスは能力発動の際に必ず必要となってくる動作なので、頻繁に行われることは仕方ないかもしれないものの、
そこの倫理観をブレイクするまでの組み立てもないまま性に対しての扱いが軽すぎるキャラ達への違和感が最後まで拭い去ることができませんでした。
ヒロイン達の性が主人公以外の男たちにこうも簡単に共有されているところを見せつけられ、なおかつそれが是とされているのは気持ち悪いです。
(この部分を除いた能力政治バトルものとしては本当に面白かったです)


ではキス以外の方法で能力が発動できるようになればいいのかといえば、そういうわけでもありません。
キスという手段を取らなくてはいけないことは、キャラたちが愛に飢えている様を象徴しています。
七人の魔女たちはいずれもある種のコミュ障で、自分をコミュ障足らしめている要素がそのまま能力として発現。
今作が伝えたいのは、能力なんて特別なものがなくても人間関係は築いていけるんだとキャラが気づくまでのお話……すなわち、ぼっちが友達を作るだけの普通なようで難しい現実的なお話なのです。

 

総括

駆け引きの普遍的な面白さは含まれているものの、キャラに感情移入しずらい作品。
コメディで済ましていい部分と悪い部分があると思うんですよ……。