にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

PRIMAL×HEARTS 感想

PRIMAL×HEARTS

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帯刀和馬はとある目的を持って親元を離れ、間ノ島学園へと転校してきた。
しかし彼を待っていたのは二つの生徒会が繰り広げる選挙戦だった。
生徒数が偶数、その上で票がきっぱりと割れて長らく決着がなかったという。
和馬の一票で学校の運命が決まる。
果たして和馬はどちらの生徒会に票を入れるのか、保守派と改革派の争う選挙ラブコメ

 

 

エロゲーという媒体の特性上、いずれかのヒロインに寄り添うのが基本的な構造としてあります。
なので、『二つの組織が対立している』という状況を物語の中心に添えたとき、必然的にどちらかの組織に肩入れすることになってしまうのが常でした。
その構造で心から拍手を送りたくなる作品は未だかつて見たことはありません……今までは。
しかしとうとう見つけました。それが今作です。

 

どちらかに肩入れしていないなら、和馬はどう振舞ったというのか。
もちろんどちらにも肩入れしなかったんです。両生徒会からの勧誘合戦などなんのその。和馬はどのルートでも話の最後までニュートラルな立場を貫きました。
いや、ニュートラルとは少し違うかもしれません。それどころか、Aと意見とBという意見があって争う中、Cを提案するなど第三勢力として立ち上がってしまうんです。
常識をぶち破り、周囲を驚愕で飲み込んでしまう様はまさに圧巻の一言。完璧です。『二つ組織構造』でエロゲーを作るならこの構造が最高に美しいんじゃないかとさえ思えます。


で、あるがゆえに惜しい。
共通ルートだけ見れば間違いなく面白いといえるのに……はい、ヒロインのルートに入ってからが微妙なんです。
いくつか例を挙げてみましょう。明かされる主人公の抱える特殊性――型破りな考え方のエクスキューズになっていない。主人公が肉体的に強い必要はない。
主人公とヒロインの努力を完全に無に返してしまうような落ち。両生徒会合意であれば選挙しなくてもいいルールなのに、ルートを盛り上げるためだけとしか思えない選挙を始める……etc。
あの手この手で盛り上がりに冷や水をぶっ掛けてきます。

 

そんなヒロインのルートですが、唯一いいルートがありました。
歌奈ルートです。
それでも問題が一つ。面白いは面白い。でも、彼女のルートは今作の特徴である『二つ組織構造』とは無縁の話です。
このゲームでしか出せない面白さではないんです。

改めて振り返ると、他のヒロインのルートは『二つ組織構造』で広げすぎた風呂敷をたたみきれなかったところが話の破綻の原因になっていたように思えます。

それでも、共通ルート感じた常識を破る気持ちよさは本物でした。八月に同じ世界観の2が出るみたいなので、是非手を出してみようと思います。