にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

異世界食堂 感想

異世界食堂

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ストイックなほどコンセプトに忠実な作品です。
異世界の人々が日本で運営する主人公の料理屋に迷い込み、その料理の味に驚き感動するという流れ。これを各話ごとにやりなおしている作りとなっている短編集。

 

同じプロットを用いて、迷い込むキャラの立場、種族の違いだけでここまで多彩な話を表現できていると言うことに脱帽しました。
まるで週刊連載の漫画を読んでいるかのような感覚。しかもあくまで短編一辺倒で、次にまたぐような話がありません。
食べ物の描写が非常にしっかりしていて、味が想像しながら読み進めることができるという点も素晴らしい。

 

どうしても抱いてしまう物足りなさは、一度登場したキャラがその後の話で中心に来ることがなく、話が切り替わる毎に毎回キャラ達の積み立てた感動をリセットされる印象を植え付けられてしまう点。
コンセプトにストイックすぎて、せっかくの魅力的なキャラクター達が食堂を運営する主人公との関係に発展がなく、もどかしさを覚えてしまいます。


例えば今作は店に訪れる人々の間にも、異世界の中での敵対関係やら何やらの複雑な事情が渦巻いているのが面白い。
しかし、彼らは暗黙の了解で店内での敵対行動は避けるようにしてしまっている。このように、異常なまでのストイックさを持って物語を転がすような種をも殺しにかかる傾向があるわけです。
せっかく異世界という題材を扱うのであれば、主人公周りで何らかの発展が見たいと願ってしまう。
コンセプトを殺してしまうような転がし方は問題かも知れませんが、コンセプトをより発展させられる転がし方があるのであれば、それに身を任せてみるべきでは無いかと愚考する次第です。ずっと現状維持ではさすがにつまらないです。

 

やや足りない、というのが自分の感想です。