にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

ザ・ウォーク 感想

ザ・ウォーク

f:id:saradax:20160131190248j:plain

あらすじ

時は1974年。
どこにでも綱を張り、渡ることを生きがいとしているフランスの青年・フィリップは、ある日ニューヨークでワールドトレードセンターが建設された事を知る。
高くそびえる双子のビルにたちまち魅了されるフィリップは、その二つのビルにワイヤーをかけて渡ることを夢に見た。

 

感想

単純に面白くなかったです。
当事者にしかわからないロマンを追い求める男の話――少し前の作品になりますが、『風立ちぬ』を彷彿とさせてくれますね。
こうした作品は描かれている人物の魂が込められているため、観ていて非常に熱く燃え上がることができ、個人的に大好物です。
その上で面白くなかったと評したのは、こうした題材を表現するにあたって作中で見せるべきものが何一つとして見せられていない点にありました。

 

一人の男の魂をモチーフにしているのに、全く熱くなれない。なぜなのか。
まず単純に、フィリップが綱渡りに夢中になっている理由がわからないところが問題です。
一応過去回想で子供の頃に綱渡りを観ているシーンが差し込まれているわけですが、そのシーンは本当にただ綱渡りをしている人を見ている以外の何物でもないカットで、感じ入るものが何もありません。「え? 今の何に惹かれたの?」といった具合に作品の根本にまったく納得いかない状態で話が進んでいきます。
当時のフィリップが何に不満を持っていたのか。この部分が無いと、『綱渡りしている人を見てるフィリップ』が何に惹かれたのかをきちんと説明できていないように思われます。

 

フィリップが綱渡りの何に夢中になっているのかがわからない。
であるが故に、必然的に周囲の仲間達がフィリップの何に惹かれて協力者となってくれているのかもまったく見えてきません。
あれだけ理不尽を働かれて、それを許してなお最後まで手伝いきると言うのは並大抵の精神力ではできないことです。
それなのにフィリップの後を追う彼らの姿は怪しい宗教の信者のようで、観ていて気持ち悪かったです。

 

さて。話として駄目な今作ですが、絵としてはどうなのでしょうか。
3Dまで用いた大迫力を歌い、IMAXを引っさげての公開。嫌が応でも期待は高まります。
そして落とされます。もう本当に……ゴミみたいなシーンでした。
高いビルの上を細い一本のワイヤーで渡っているという緊迫感に満ちているはずのシーンなのに、仏のように心穏やかに観れてしまったんです。
びっくりするくらい迫力に乏しい。
ワイヤーを渡るフィリップと、それを見守る衆人観衆を見せているだけの平坦な絵の連続。前述でもあったように、ここでもやっぱり『綱渡りをしている人を見ているだけ』以外の何物でも無い。まるで事実のみを綴った説明文でも読んでいるかのような錯覚を覚えてしまいました。

 

実話ベースだから仕方ないところはあるにしても、今作の駄目さは実話がどうなどと言えるレベルを遙かに超越しています。
何もかもが下手。ザ・金ドブ作品です。