にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

黄金のアデーレ 感想

黄金のアデーレ

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正直ものたりなさを感じる映画でした。


個人が国宝をいかにして取り戻し、気持ちよさを味わうか。
とても気持ちよさそうな作品です。
一見そういう作りになっている。でもその実やってることの一つ一つが非常に中途半端なんです。
裁判関連の駆け引きパートは、なんでそのタイミングで? というような箇所で主人公サイドの切り札が観客に提示される。
何度もある裁判の中で、勝つためにいかなる武器を手にしたのかなどの描写も一回だけで終わり。裁判映画なのにロジックがまるでない。
裁判後のキャラ達の喜ぶシーンも省略し、エンディング内で字幕説明(今作では明らかにクライマックス後をもっと見せた方が、絵画が返ってきた喜びに共感できてよりよい映画体験になったのでは)。
こうした積み重ねのせいで、本来一番スッキリするであろう場所がすごくもやついた感情を残します。
え、あ、もう喜んでいいの? あれ、もう終わり? と置いてけぼり。

 

マリアとアデーレの関係の描き方もやたら周辺事情を濃密に描きすぎている印象。
アデーレ以外をあんなに掘り下げる必要あったんでしょうか。
過去回想と言うのは、いわば説明シーン。そんなもの長々と見せつけられても正直面白いものではありません。
そこを控えめに、現代での葛藤をより濃密に描いてくれれば全然名作になりえたような映画だったのではないかと歯がゆく思ってしまいます。