にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

パワーゲーム 感想

パワーゲーム

f:id:saradax:20150524222701j:plain

映画が続きます、今週4つ目の記事。

 

物語

野心の強いサラリーマンの男が産業スパイをさせられていく中で、地に足の着いた生活の良さに気が付くまでのお話。

 

主人公・アダムは平凡な人生を歩んできた父親のようにはなりたくないと、いわゆる『勝ち組』というものにとても憧れています。
根拠のない自信で虚勢を張り、その言動の一つ一つがとても不安定。
アダム氏の父親はとても病弱でアダム氏の立場と比例して体調を崩すのですが、まるでアダムの持っている日常の不安定さを示しているかのようです。


嫌っているはずのそんな父親を脅迫の弱みとして機能してしまっているのは、彼が夢のみを追い求めて日常を捨てきることができない弱さがあることを物語っていました。
物語が始まったときにも終わった時にもそばにいるのは父親。アダムが求めていたものは最初から提示されていたわけですね。

 

 

産業スパイが題材であるため、必然的に作中には二つの会社が登場。
ワイアット社とアイコン社。いずれもスマホなどの新しいハードを開発し、競争しあう仲です。
ワイアット社の社長はアイコン社から出る予定の新作ハードの情報を欲しているなど、
これらの会社がどういった位置づけにあるのか説明されていく中でとあることに気づきました。


ハリソンフォードという有名すぎる役者を使っているために気づくのが遅れたのですが、この二つの会社の社長の見た目がビル・ゲイツスティーブ・ジョブズにとても似ているのです。
作中で扱われている会社の争いは、まんま現実のアップルとマイクロソフトの争い――パイレーツオブシリコンバレー状態だったのです。ニヤニヤが止まりませんでした。

 

 

最終的にアダムは二人の社長を出し抜いて、二人を豚箱に貶め、やっぱり自分は『勝ち組』よりも普通の人生でいいという答えを出します。
この物語が始まった時からわかりきった答えで、とくにそこに疑問を差し込むことはありません。
なるほど、めでたしめでたし……とはとても思えません。
確かに二人の社長は豚箱に行くほどの悪人でした。しかし、『勝ち組』の象徴である彼らを完全な悪者にしたてあげるのはその生き方を完全に否定しています。
普通の人生を良しとするのはともかく、普通の人生以外をナンセンスだと扱うのはあまりにも横暴ではないでしょうか。


せっかく主人公のアダムは両方の人生を作中で疑似体験できるのですから、両方体験したうえで『勝ち組としての人生はすばらしい。でも自分は普通の人生のほうがいい』という形の方が気持ちよく、素直に受け取れます。
社長二人はもう少し中途半端な悪人であるべきです。

 

総評

派手すぎず地味すぎず。ややカタルシスが薄い印象。
よくあるメッセージを微妙な着地点でまとめているので、悪いとまでは言いませんがあまりお勧めできるような作品でもありません。