にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

Re:ゼロから始める異世界生活 感想

Re:ゼロから始める異世界生活

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異世界生活系作品の中でも一際硬派に作られた、読み応えのある作品であるリゼロ。
とうとうアニメ化に至りましたね(今更)。
異世界ものを好むライトな層とは違うところにターゲットがあるため、やはりアニメでは賛否両論あるようです。
ひとまずweb小説、MF文庫、アニメ七話まで見た段階での総合的な感想となります。

 

異世界の中でタイムリープがあったら、という発想の話というのは今までにありそうで無かった今作。
まず目を惹くものと言えば、他の異世界ものではメタ発言や安易な神様設定によってなぁなぁになりがちな、『異世界に飛ばされた理由』がしっかりと物語の中心に絡んでいる点でしょう。
おかげで作品全体に重厚感が生まれ、どのセクションに至っても説得力のある展開を安定して生み出して行けている印象です。
理由付けの大切さというものを痛感させられますね。

 

死んでタイムリープをすること以外に肉体的にも知能的にも、特殊技能的にも一切恵まれていない主人公が物語を薦めるに当たって、やはり周囲の人に積極的に頼らなくてはいけない状況へと追い込まれていくところなんかも個人的にいいなと思いました。
戦力的に優れている奴らを絡めなくては、目標が達成できない。ゆえに目標を達成するためにどのような方法で戦力を集めようかと考えるのが今作の転がり方のセオリー。
そのため凡人視点で凡人なりの努力で、ぎりぎり叶えられそうなポイントを通っていく展開が毎度熱いことこの上ありません。
惜しむべくは最初のエミリアとの出会いの話で、決着に至った戦力を引っ張ってきたのがフェルトの側を偶然通りかかったラインハルトだったという点でしょうか。
さすがにそこは必然が欲しいと思いはするのですが、当時の主人公の中にあるラインハルトの認識を考えるとこのぐらいのバランスになっても仕方ないのかもしれませんが……。

 

そしてここからが欠点の話。
エミリアとの出会いの話とロズワール邸での話は短くまとめられているのですが、この作品は各セクションがとにかく長い。
これはweb小説という媒体であれば多かれ少なかれ良くある事のようにも思えるのですが、今作は他の(アニメ化に至った)web小説には無い特徴を持っています。
その長いセクションの中で日常シーンで間延びさせるようなことはほぼしておらず、その大半でしっかりと物語を綴り上げているという点。
ここまでしっかり物語を書き上げるわけですから、作家さんの根性たるや並々ならぬものがあるところは強く実感します。
それでもやはり長い!
一つの目的を達成するために必要なことが非常に多すぎるんです。
難関であればあるほど盛り上がるのはわかるのですが、それにしたって限度があります。
おかげで、最初に定義された目的を途中で何のためにキャラ達が頑張っているのか忘れてしまうこともしばしば。最初こそ短くまとまっている話だからどうにかなっているものの、この先の展開を思えば間違いなくアニメ化には向かない類いの作品である事が断言できます。

 

その一方で、ここまで丁寧にキャラクター一人一人に焦点を当てて冗長と思えてしまうほど描いていけるのもまたweb小説の魅力なのかもと考えれば、何が正しいなどは一概に言えないような気がしないでもないと悩む今日この頃。
いやしかし、人に読んで貰うことを前提としているならやはり、もう少しまとめた方がいいのかもしれないですね。

 

とは言え、その冗長さを除いても十分すぎるほどに面白いと言える作品だと思います。