にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

グレース・オブ・モナコ 感想

グレース・オブ・モナコ

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今週二つ目の記事です。

 

物語

モナコ大公に嫁いだハリウッド女優が、政治的にピンチに陥ったモナコを女優なりの方法で乗り切るお話。

 

 

主人公・グレースは元ハリウッド女優という肩書はあれど、普通の人でした。
夫婦間の衝突、母親としての重圧。そこに加えて政治の小難しいやりとりが普通人のグレースを悩ませます。


一時はハリウッドに戻りたいと願うものの、大公が、国民が、敵国が、メディアが――周囲がそれを許してくれません。
そうした悩みからグレースを解放したのは現実でも『演じる』ことでした。それこそが自分をここまで連れてきた武器なのだと自覚してのことです。
いや、解放とは言えないかもしれません。本質的にはまったくの逆で、自身をこれ以上ないほどにしばりつけました。


従来のプリンセスストーリーはなるまでしか描かれておらず、一見それはとてもきらびやかでいいものなんだという記号的価値感にとらわれています。
しかし、今作は違う。現実でもそうであるように本番はそのあと――プリンセスになったあとの長い人生こそが本来目を向けるべき場所なのだと示唆してくるのです。
作中では『演じる』ことを武器に周辺諸国との外交をうまく乗り切ってモナコの窮状を救ったところで終わり、グレースはその後も『よき妻』『よき母』『よき大公妃殿下』などの役割を演じきったといいます。


これはシンデレラでしかなかった女性が女優になっていく物語なのです。

 

総括

パワーゲーム的な要素はありません。最終的に人の良心にうったえていこうというスタイルが後味にもやっとしたものを残していきます。
ただ、伝記である以上はそれはしかたないことでしょう。
過程で描かれている葛藤パートは面白く、画面もわかりやすいため、飽きることなく楽しめる作品です。