にわオタレビューブログ

にわかなオタクがアニメ、ラノベ、エロゲーなどのレビューをつづります。まったく関係ないこともつづります。

六花の勇者 感想

六花の勇者

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あらすじ

「六人の勇者が現れて魔王を封じるだろう」
その勇者の一人として選ばれた少年アドレットは、他の勇者たちと合流を果たす。
しかし、集った勇者はなぜか七人いた。そのうち一人は偽物で、勇者たちを亡き者にしようとしている。
始まる犯人探しだったが、アドレットは容疑者最有力候補として他の六人に追われる羽目になってしまうのであった。

 

 

感想

――六人の勇者が選ばれる世界。まだ選定が明確ではない時のいざこざ。
まるでハリウッドのアクション映画を観ているかのような高揚感を味わうことができました。最初だけ。
そう、残念ながら今作はいい作品だとは言えません。

 

 

構造としてはファンタジーの世界観でミステリーをやるというもの。
つまりお話の面白さをミステリーに依存させることになる……のですが、今作はとにかく理由付けや伏線がありません。

 

例えばモーラという勇者。モーラは文武両道で経験も実力も豊富な年長者で、彼女を慕っている子供勇者もいます。なのに物語の途中で唐突にアホになる。
どこかを読み飛ばしてしまったのかというくらいの唐突さです。彼女を犯人であるかのようにミスリードさせたいのは明白ですが、アホになった理由はありません。
wikiを見ると、頑なに自分の正義を信じているキャラであるとされていました。つまり設定的にもともとアホだったということ。そんな描写ないのに。
元々アホだったならあんな形で母のように慕ってくれるキャラがいる点や、まるで対人折衝にすごくなれているかのような態度を取っていた点など、さまざまな部分に頭をひねりたくなる場所が出てきますね。
もう意味不明です。

 

そして真犯人もまた意味不明。
犯行動機も唐突で、そんな感情抱いているかもしれないみたいな描写も一切ありませんでした。
あんなのがまかり通ったら何だっていいと言えてしまう。真犯人が明かされた時が今作で最も納得できない部分です。
そもそも狂人的信念を抱く人間が、それも絶対仲間になってくれるであろう勇者もいる人間が、なんでこんなまどろっこしいミステリー環境を整えるかの動機もないです。

 

甘く見てサブキャラ的な立ち位置のモーラはいいとしても、今作を転がす中心となっている真犯人のあのめちゃくちゃぶりはひどい。
ミステリーとしてダメ、という時点でお話をミステリーに依存しているこの作品がいいという通りはありません。
作者さんはもっとミステリーを紐解くか、それが嫌なら素直にミステリーよりもロジックが甘くても許されがちなファンタジー作品を書くべきだと感じました。